現在の出入国管理において,一番重要な法律は「出入国管理及び難民認定法」です。この法律は,4つの分野の手続き「出入国」「在留」「退去強制」「難民認定」について規定されています。
外国人の方が「日本に入るとき」「国内に滞在するとき」「途中で追い出されるとき」「自分の国に帰るとき」「そして助けを必要とするとき」の決まりや,その方法について書かれています。実際に細かい手順まで書いてしまうと,膨大な量になり,途中で変更することも大変なので,条文の中に「法務省令に定めるところにより」と書くことによって,法務省が出す「命令」にその技術的な内容を定める権限を与えています。
そんな「出入国管理及び難民認定法」ですが,できたのは戦後少し経った昭和26年です。戦争に負けた日本は,それまでの価値観を大きく変えることとなりました。そして,当時のアメリカの出入国を管理する法律であった,「移民法」の影響を受けてこの法律ができました。
当時この法律は,急速な法整備を可能とするため,「出入国管理令」という政府の命令「政令」として誕生しました。同じように発せられた500以上の命令と併せて「ポツダム命令」と呼ばれています。
その後数度の法改正を経て,現在の形となりました。主な改正については以下の通りです。
1982年 難民認定手続きについて
1990年 在留資格の再編
2004年 出国命令制度の創設
2009年 在留カードの交付開始
2014年 在留資格「高度専門職」の創設
2018年 在留資格「特定技能1・2号」の創設
2017年に120年ぶりに民法(債権法)が変わることが決まりましたが,それに対して「出入国管理及び難民認定法」はわずか数十年の間にこれだけ形をかえています。それだけ出入国管理を取り巻く環境は,速いスピードで変化しており,それに対応することが求められています。この法改正のスピードが,外国人を取り巻く法令や制度が理解しづらい一因となっているのかもしれません 。